介護報酬改定からわかる介護業界の問題点

2003年の第一回の介護報酬改定から、3年ごとに様々な議題が取り上げられてきました。そしてその議題は変化しているのですが、その変化から介護業界の問題点を知ることができます。

特に目立っているのが、介護人材の不足と処遇改善です。介護人材の確保が初めて改定の内容に組み込まれたのは2009年です。それから2023年現在に至るまで、介護人材の確保は介護報酬改定におけるメインの議題となっています。

交付金の支給や様々な施策が講じられていますが、いまだに大きな改善はされていません。2020年ごろから、介護士の給料の引き上げの試みが何度か行われ、実際に給料が増えた人材もいますが、派遣やパート、経験の浅い職員などには完全にいきわたっておらず、まだまだ解決への道は長いという印象です。

また、介護人材への賃金を上げるとなると、顧客、つまり介護施設利用者から得る収益を増やす必要が出てきます。しかし要介護者へかけられる経済的負担には限界があります。あまり要介護者から巻き上げてしまうと、介護報酬改定のもう1つの大きなテーマである、要介護者の自立支援の妨げになりかねません。

要介護者を各自治体で支えるという地域包括ケアシステムが推進され、介護施設の負担を減らすことが期待されていますが、これもまだまだ問題解決につながるほどの効果が出ているとは言えません。

2021年の介護報酬改定ではこれらの問題に加え、感染症や災害への対応についても大きなテーマとして取り上げられています。団塊の世代が全員高齢者になる2025年までに、少しでも多くの問題を解決することが望ましいでしょう。