過去数回の介護報酬改定で起こった変化について

2003年からおよそ10年の間に行われた介護報酬改定では、要介護者へのサービス向上が中心に議論されていました。特に認知症患者への対応の周知と強化、高齢者と要介護者の自立支援の2つは介護報酬の改定が始まって2023年の現在に至るまで、継続的な課題となっています。

しかし2015年ごろから介護される側だけでなく、介護する側の処遇改善も大きなテーマになりました。過酷な肉体労働と精神的な負担、それに見合わない賃金の低さが問題視されはじめ、それが介護業界の人材不足につながっているのでは、という指摘があったのです。

介護職員の処遇改善として行われたのが賃金の引上げです。最近の施策としては2022年に、介護職員1人当たりの月額の給料を9000円上げる賃上げ制度が開始されました。実際に介護職員の給料は少しずつ上がってきています。しかしパートや派遣の職員まで行き届いておらず、介護業界内での格差をなくすことが今後の課題と言えるでしょう。

2021年の改定では、BCP策定が大きな議論になりました。新型コロナウィルスの流行や度重なる自然災害で、介護のシステムが何度も滞ったことにより、緊急事態における対応力が重要視されるようになったのです。全ての介護事業所にBCPの3年以内の策定が義務化されました。感染症が流行した際にワクチンを優先的に摂取できたり、国から経済的支援が受けたりできるなど、これまでには無かった大きな変化が見られました。
「そもそもBCPとは?」という方はこちらをチェック→→→【BCPとは?】介護における事業継続のポイント

課題の中には、改定後に効果が出るまで時間のかかるものが多くあります。そのため忍耐強く地道な改善努力が必要となるでしょう。